前回の「Euphoria」についての続きです。
「LOVE YOURSELF 起 Wonder」で流れる「月の光」についてと、「LOVE YOURSELF 轉 Tear」のIntro曲、「Singularity」に繋げて書いていくと予告しましたが、更新していない間に公開された「FAKE LOVE」のTeaserを観て驚いたことが!なので予定を変更してお届けしています。
「月の光」について、曲の元になった詩に登場する仮面と艶やかな衣装というところが「Singularity」にも通じると思ったのですが、詳しくはこちらの記事をご覧ください➡︎
新曲のTeaserではメンバーたちがそれぞれ、恐れを肯定に変えるというマジックショップを訪れ、それぞれの恐れの象徴であるアイテムを交換してもらうという場面から始まります。
アイテム交換所の窓口にいる仮面を被った人物の手は、女性の手ように見えます。
2枚目の画像は別のグループのコンセプトムービーの場面です。黒いフードの女性から3色のチョークを預かり夢が始まります。共通点のある2つのシーン。黒いフードを被った人物からアイテムを受け取るということは夢の始まりを示唆しているのではないでしょうか。
Teaserの中で一番興奮したのは、ジョングクが一人暗い部屋の中に入って行くシーンです。
「Singularity」でダンサーたちが動かしていたものと似たポールハンガーが6本。
グクが近づくとその先に、黒いフードの人物がいたのですが…
この人物…Vのように見えませんか!?
口元の雰囲気や鼻の形がとても似ているように感じますが気のせいでしょうか!?
※追記:この写真からも黒いフードの人物はVのようですね!
※追記2:メンバー全員が黒フードの仮面の人物でしたね!次の記事に少し加筆しております。
また新バージョンMVの記事にて詳しく書く予定です。
「Singularity」が公開された日、過去曲と似た振り付けの場面をつないでTwitterにUPしたのですが、これは夢を通して様々なシーンと同化している=Vが全てを操っているということなのかな?と思いました。
今まで夢を監視し操作してるのはJINだと思っていました。アルバムのコンセプトフォトでもJINの着ているTシャツには【control】の文字が書かれています。
JINは夢の世界で、悲劇を止める為に何度も似たような出来事を繰り返しています。
これまで、Vのトラウマを救うことが目的の一つだと思っていましたが、JINの消したい悲劇とはジョングクの事故の事なのでしょうか?…
そして、もう一人ここに来て夢をコントロールしているかもしれない人物(Magic shopのオーナー)がVです。Vはこれまで高い場所から飛び降りたり、線路の上に横たわるような動作を繰り返して来ています。これは夢を終わりにする為の行為です。夢の世界を続けるJINと壊そうとするV。同バージョンのコンセプトフォトでVのTシャツに書いてあった文字は【innocent】でした。正反対の目的で動いているように見えるこの2人の関係を考えると「血汗涙」でVを殴りながら「ごめん。」と言うJINも、目隠しをしJINを黒い翼の像へと誘導した後の謎の笑みも全て、しっくり来るように思います。そこで、Vの目的とは何か…様々な世界観のMVはどうつながっているのか?という疑問です。
色々な解析をしている方がいますが、私が考えているのはインセプションの世界です。
THE NOTESの時系列なども気になるところですが、あれはいくつもの夢の中の一つの世界のパートだと思っています。
「LOVE YOURSELF」のポスターのJINの上に浮かぶ真昼の月。昼に浮かぶ月は「ペーパームーン」のようです。ペーパームーン=紙の月とは、“作り物・まやかし”の象徴です。
また「花様年華 prologue」「Wonder」で流れる「月の光」は現実と夢の狭間の曖昧な感情が込められた楽曲です。この事から 個人的には、すべては夢の中の出来事なのだと思っています。
インセプションの世界をざっとまとめたものです⬇︎
映画では現実から最下層の虚無まで5つの世界で構成されています。バンタンストーリーにおいて、頭に入れておきたい設定は4つです。
・深い夢に入るほど、時間の流れが早くなる
・各層で夢を見ている主人公が異なる(例えば、Highlight ReelはJINの夢の世界)
・ドリーマーが異なる夢でも別の夢で起きたことの影響を受ける
・キックをする事で夢から覚め、一つ上の夢の層へと移動する
キックとは、ここでは前述した高い所から飛び降りたり線路に横たわるなどのVの行為につながります。
今回登場した「Singularity」や「FAKE LOVE」の暗い部屋は、『インセプション』でいう所の最下層、虚無の世界だと思いました。虚無とはトラウマに最も近づく夢です。映画の中で虚無に落ちた主人公・コブの前に現れたのは、自殺したはずの妻、モルでした。モルというキャラクターの名前は、ラテン語の“悪”から由来しているのでは?という説があります。
このモルの行動がこれまでのテテの行動ととてもシンクロしています。映画とのリンクについて、詳しくは過去記事に書いているので、こちらをご覧ください
➡︎
『インセプション』は、潜在意識の奥底に潜り込み、“他人のアイデアを盗み出す”という犯罪のスペシャリストが、他人の潜在意識に“別の考えを植えこむ”(インセプション)ミッションに挑むというストーリーの映画です。
しかしこの映画の本当のメインストーリーは、主人公コブのトラウマからの脱却と再生です
虚無に落ち、自らのトラウマと向き合うコブとモルのシーンのように、テテの待つ暗闇の部屋に脚を踏み入れたグク。グクの着ていた服は扉に入る前と違い、ボロボロでした。
『インセプション』でも虚無に落ちるまで、各夢の層で登場人物たちはたくさんの困難に見舞われます。そのボロボロの服が物語るのは、まるで私たちが観ている 現実世界での一瞬で、数年の時を過ごしていたかのようです。
また、上に貼った過去記事では、虚無=WINGSの世界だと書いていたのですが、マジックショップへ向かう廊下は「Blood Sweat&Tears」MVの廊下と似ていませんか?鮮やかで綺麗だった建物が廃墟になったような…。
それでは、夢の層とは何か…監督のクリストファー・ノーランは『インターステラー』でも惑星の距離として、夢の層と同じ時間のトリックを使っていました。夢の層とは、多元宇宙論であり、次元を移動するという行動はタイムリープにもつながります。
(Twitterで話題になっていますが、複雑な細かいストーリーの流れをとても分かりやすく書かれているブログがあったので、こちらにもリンクを貼っておきます。
➡︎(ハングルですが、右上の3点から日本語に変換出来ます))
上の解析記事にもあったように、「I NEED U」でJINの車に轢かれ犠牲になったグク。これは私の解釈ですが
、Highlight Reelは犯してしまった過ちを消し去りたいというJINの思いが反映された夢です。
しかし「RUN」では、グクはまだ車椅子に乗っています。(部屋の中ではしゃぐシーン)
そして「FAKE LOVE」では派手やかな服からボロボロの服に。
グクの役割とは何なのでしょうか?
まず下記のツイートをご覧ください。
ORYUとは「LOVE YOURSELF 轉 Tear」の4バージョンのコンセプトフォトの公開された順番を単語にし、出て来たキーワードです。(海外ARMYすごい
)そして「134340」はアルバムの収録曲のタイトルであり、冥王星を意味する数字なんだとか。このスレッドを読み進めていくと冥王星が準惑星であるという話が書いてあります。“小さくて孤独な惑星”。「DNA」のMVで孤独な惑星(逆さまになった月のような)を見ている人物はVでした。
この元ツイートをされた海外の方は「Whalien 52」が頭をよぎると言われていたそうです…。
ここで私の妄想の登場です!w
music theoryのまとめ記事に書いたのですが、たくさんの楽曲でクジラの歌声が聴こえます。
「FACE YOURSELF」内の楽曲でも、J-Hopeのミックステープの中でも、「Euphoria」でもクジラが歌っています。だいぶ意味の分からない事を言ってると思いますが(w)その時の記事に貼った動画をこちらにも貼っておきます。
この動画の中に書いたクジラの歌声のような音が、他にもたくさんの楽曲の中に登場しているのです。
「LOVE YOURSELF 承」の隠しトラックでも、海に潜っていく音が聴こえます。誰にも通じない言葉で、誰にも届かない想いを一人歌い続けているWhalienはメンバーたちの想いの象徴であり、それに共鳴する私たちの化身です。Whalienの旅は今もまだ続いているのです。
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“Singularity”とは“特異点”や“風変わり” 、“たぐいまれなこと”という意味です。一人たくさんの仮面と踊る孤独なVの姿は一人ぼっちで歌うWhalienと通じるものを感じます。
「Singularity」の歌詞に出てくる“湖に捨てた僕”。
凍りついた湖に亀裂が入ります。
“君のために沈めた僕の声”
“少しの間見ていた夢”とは「I NEED U」や「Highlight Reel」、「Euphoria」などのたくさんの世界のことのように思います。そして夢から覚めても、幻想痛は消えない。マジックショップでアイテムを交換したように夢の世界をやり直しトラウマを肯定的な記憶に書き換えても、心の奥底の痛みは消えない。
昨年のMelon Music Awardのステージで、『僕たちは恐れの仮面をつける 僕のままでは愛されそうになくて』というセリフがありました。そしてその直後にスクリーンに浮かんだのは、“Singularity”と“Tear”の文字。
湖に捨てた本当の自分。偽りの自分に苦しむ様子が歌のクライマックスで詩的に続きます。
“僕は自分を失ったんだろうか
それとも君を失ったのか
Tell me 僕の声が偽物ならば
僕を捨ててはいけなかったのか
Tell me この苦しみさえ偽物ならば
その時 僕は何をするべきだったのか”
(誤訳・意訳含みます。)
グクの役割とは何なのか。
“捨ててしまった僕の声”。というキーワードが、グクの持つ役割と繋がるのではないでしょうか?
グクのソロ曲「Begin」では“君が僕を作ったんだ”という歌詞が出て来ます。自分を輝かせてくれる兄の苦しみは、自分が辛いことよりも辛い。兄が苦しむ事を恐れ、痛みを背負い下層世界(※夢の中で死ぬと虚無へ落ちます)へと落ちたグク。
「Euphoria」でグクが着ている服の色は黄色です。ファンミーティングのポスターの衣装も黄色でした。黄色という色は幸福の象徴として、ビートルズや日本の映画のタイトルにも用いられています。
「DNA」MVでグクとテテが2人で踊るシーンがありますが、ペアで踊っているメンバーは陰陽になっています。(※過去記事参照)陰の役割をしているテテ、静かに待つ暗いその場所に、陽であるグクが訪れます。
古代中国から伝わる陰陽道では、陰と陽は互いに必要な存在であり、どちらもちょうど良いバランスでいることが最良の状態だと云われます。
少年の心臓は一つ。WINGS TOURのVCRに出てきたキーワードは、少年たちは7人で一人なのだと言っていました。映画「インサイドヘッド」のようにそれぞれのメンバーたちには、一人の人間の持つ様々な一面を反映させた役割があるように思います。
例えばピンク色のSUGAの役割は“人生の目的”や“夢の実現”です。
これまでのストーリーの中でも多くのシーンでSUGA(夢の実現)とグク(幸福)はセットで動いています。
夢や希望、痛みや悲しみ、そして誰かを思いやる心。私たちの中にある、肯定的な感情も否定的な感情もすべて私たちを創る大切な感情です。
新しく公開されたTHE NOTESの最後、グクが事故に遭った直後の状況を思い起こさせる内容のラスト、誰かにこんな問いかけをされます…。
…『生きるのは 死ぬより苦しいはずなのに、それでも生きたい?』
この問いかけをしたのは黒いフードの仮面の人物なのではないでしょうか。
人の中にある孤独な“Singularity”が、ループする世界で痛みの体験を繰り返し、求めるものとは…
2017年 Melon Music AwardのVCRに登場した“ANSWER”の言葉はこうでした。
真の愛には
自分自身になる勇気が必要
自分自身を愛することで
世界を愛するようになる
LOVE MYSELF
「FAKE LOVE」Teaserでフードの人物と対峙したグクが選ぶ“ANSWER”はここに繋がってくるはずです。
自分の中の正しさも愚かさも優しさもずる賢さも、ありのままの自分を愛すること。
本当の愛には自分自身になる勇気が必要。
君は 僕の人生に再び浮かんだ太陽の光
幼い頃の 僕の夢の再臨
(中略)
夢は砂漠の青い蜃気楼
僕の中の深いところに 先天的にある
「Wonder」のエンドロールに流れる「Euphoria」。
いつのまにか誰かの望む自分になる為に、仮面の下に閉じ込めた、“幼い頃から先天的に持っていたもの”。
黄色い幸福色の服を着たジョングクは知っています。“You are the cause my euphoria(君が僕の幸福なんだ)”と。
そして黄色には、こんな意味もあるそうです。
“恐怖や不安に立ち向かう力”。
「FAKE LOVE」MVのグクはとても勇ましい表情をしています。崩れていく夢の世界を走り抜けるグクは、恐怖や不安に立ち向かっているのではないでしょうか。
ありのままの自分自身を愛することは、世界を愛すること。
緻密に練り上げられた複雑なストーリーの目的は、私たち聴き手の共感を生むことだと思います。
そしてそのメッセージを受け取った私たちの、心の中の小さな成長は、やがて世界を変える力になり得るのだと彼らのストーリーが物語っているのでしょうか?
「Singularity」の、“夢から覚めても消えない幻想痛”という歌詞から、とある映画のセリフを思い出しました。
『天国はあるぜ。だけど誰も辿り着けないんだ。空に上がる時に雨雲に触れて雨と一緒に墜ちてしまうから……
もしも 人が最期にたどり着く場所が天国なら、ここ(今いる現実)が天国なのか…?』
夢の世界で創り上げたユートピアには何もない。『オズの魔法使い』でドロシーが最後に言った「やっぱりお家が一番ね!」というセリフのように、『銀河鉄道の夜』で孤独な少年ジョバンニが、汽車を降り“ほんとうのしあわせ”を探しに、辛い現実世界に戻って来たように。
私たちを誘うストーリーの着地点は、きっと希望に溢れているのだと思います。
デビュー当時は誰にも相手にされず、アイドルがHIPHOP なんてと蔑まれた彼らの楽曲と壮大な物語は、海を越えて、遥か遠い地球の反対側まで届き始めました。
「LOVE YOURSELF」という、とても身近なテーマを掲げて…