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単純に、産前産後休業（出産手当金）について、出産日が予定日より遅くなったら、そのぶん産後休業が長くなるが、早くなったら産前休業は短くなる！

って覚えている人いませんか？

実はこれは絶対的にこうなるのではないです、こういうケースが多いのでこう覚えてしまいがちです。
自分もいつしかそう思い込んでしまってました。

いちおう根拠となる法律のおさらいですが、

・産前産後休業とは

労働基準法では産前6週間、産後8週間を産前産後休業として定め、この期間内の賃金保障は義務付けられていない。

・出産手当金とは

健康保険法　第百二条（抜粋）
被保険者が出産したときは、出産の日（出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日）以前42日（多胎妊娠の場合においては、98日）から出産の日後56日までの間において、労務に服さなかった期間、出産手当金として、一日につき、標準報酬日額の三分の二に相当する金額（を支給する。

出産手当金の根拠条文には出産日以前42日で労務に服さなかった期間とあります。
通常は産休に入る前までは働いていて、産休から休みを取るという人が多いため、早産となったの場合でも開始日より前は労務に服しているので、それ以上早まらないということになる。

つまり、産休開始日より前の期間において労務に服していない（労務不能ではないので単に働いてないだけでいい）場合はその期間も該当することとなる。

なので早産の場合は必ず産前期間が短くなるというのは間違いなのです。

ただし、産休開始日より前に切迫早産や、重症妊娠悪阻、妊娠高血圧症候群などで、お医者さんに診断されて休業した場合は傷病手当金の対象となります。

で、出産手当金と傷病手当金を同時に受けることが出来る場合、出産手当金が優先して支給され、傷病手当金はその期間支給されない。出産手当金を支給すべき場合において傷病手当金が支払われたときは、その支払われた傷病手当金は、出産手当金の内払とみなす。

という決まりがある。

よって、産休前に傷病手当金をもらって休んでいる場合は結局はその期間の出産手当金は内払とみなされて支給されない。

なので、産前が早まるケースはレアなのです。

しかし先日！

予定日より１ヶ月早くご出産された方がいらっしゃいました。
その方は、出産前に「産前産後休業取得者申出書」を提出し、
また、産休に入る前は切迫早産で病休扱い（傷病手当金は未申請）としていました。

そこでご担当者の方から産前は１ヶ月前に遡り早くなりますか？と問い合わせがあり、とっさに「いや、産前は早くはならないですよ～」と回答してしまいました。
すると、ご担当者さんは、早くなると思って社会保険料の免除も１ヶ月分できると本人さんに言ってしまったと…。

あれ？そういえば、産休中も免除されるようになったけど、そんな取り扱いするんだっけ？
…と思い、ちょっと確認して折り返しますと。

そして、機構の免除に関するパンフを確認↓

そしたらはっきり書いてありました。

※労務に従事しなかった期間であった場合に休業開始日を変更

とあります。

今まで気にしてなかったが、こんなケースもあるのか！
と思い、さっそく管轄の年金事務所へ電話しました。
簡潔にいうと「産後は遅くなるけど、産前は早まりませんよー」とご回答…

「あれ？でも機構の資料に開始日を変更できるってあるんですが…」

「え！？ちょっと早急に確認します！」

その後すぐに、「勘違いしていて、労務に服していないなら早めることができる、そして、免除する月も早まる」という訂正がありました。

よってこのケースの場合は「産前産後休業取得者変更（終了）届」にて、産前産後休業期間の開始と終了日を共に変更して届ける必要があります。

産前産後休業中の保険料免除が始まったことによって、今まで気にならなかった部分が非常に大きな意味合いを持つようになりました。

今後は早産になる場合に注意しておかなければ！

最後にケース別にまとめておきます。

①産休開始前まで働いていて早産となる場合

・出産手当金
　⇒産前は早まらず短縮される
・社会保険料免除
　⇒産前は早まらず開始月から免除

②産休開始前まで病休（傷病手当金受給）早産となる場合

・出産手当金
　⇒早まった分に支払われた傷病手当金は、出産手当金の内払とみなす
・社会保険料免除
　⇒産前が早まり変更後の開始月から免除

③産休開始前まで病休（傷病手当金なし）早産となる場合

・出産手当金
　⇒産前が早まりその分の出産手当金が支給される
・社会保険料免除
　⇒産前が早まり変更後の開始月から免除

④産休開始前まで有休をとり早産となる場合

・出産手当金
　⇒産前が早まるが有休の分は出産手当金が調整される
・社会保険料免除
　⇒産前が早まり変更後の開始月から免除（労務に服してないため）