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Twitterのフォロワー様に教えて頂いた記事なのですが、
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つい10日くらい前にこんな記事がアップされて話題になっていたそうです。
今日はこちらの内容について簡単ですが僕なりの見解をお話しておきたいと思います。
◎日焼け止めの化学物質が皮膚から血中に…!?
現在の皮膚医学においては美容と健康をそれなりに意識する場合、
長時間の紫外線に晒される環境では「日焼け止め」は絶対に塗るべきであるという風に考えられています。
なので僕もそうですし、世間一般的には多くの皮膚科医師や美容系有識者は「日焼け止めは必要」というスタンスにあります。
ただ今回のこちらの記事、
タイトルをさっと見る感じ非常に雲行きが怪しい雰囲気を醸し出していますね…(苦笑)
今日はこの話を色々考察するんですが、
まずは是非上記記事に目を通してみて頂きたいです!
ただ、極力全文お読み頂きたいですが、
面倒くさいという方に向けてかずのすけが特別に軽~く要約すると…
- FDA(アメリカ食品医薬品局)が発表した試験結果によると、日焼け止めに配合されている「紫外線防止剤(紫外線吸収剤)」が塗布等により体内に取り込まれ血中に流れこんでいることが明らかに。
- 試験を行ったのは「アボベンゾン」、「オキシベンゾン」、「オクトクリレン」、「テレフタリリデンジカンフルスルホン酸」の4種類で、被験者24名全員から、いずれの成分も血中よりFDAの定める閾値を超える濃度で検出された。
- 血中から検出はされたものの、いずれの成分においても現段階では重大な悪影響は認められていないが、長期的な安全性も不確かであると懸念を述べる医師も。
- 体内に取り込まれないことが明らかなのは全16種の紫外線防止剤の中で「二酸化チタン(酸化チタン)」と「酸化亜鉛」のみであった。
- 今後より精細な試験と安全性データの蓄積が求められる。
というような感じですね。
実はこのWIREDっていう情報サイトは、ライターさんの質によっては非常に良くない記事になっていたり、
良質な内容になっていたりとピンキリがあるサイトなのですが、
まぁ今回の内容はタイトルこそちょっと作為的なものを感じますが比較的悪質というほどのものではないかなと思いました。
それなりに元の論文内容を反映できているのではないかと思います。
つまり、書いてあること自体にウソがあるわけではなく、
実際に日焼け止め中の化学物質(紫外線防止剤)が血中に取り込まれていることが明らかになったよ
という内容になっていますね。
ただ、実はこの記事は、
今回の論文の「真の意味」に気づけていないというか…。
見落としているポイントがあるんですよね。
本当はそこをピックアップするべきではないかと僕は思いました。
◎日焼け止め成分が血中に取り込まれることは何も新しい知見ではない
そもそもなのですが、
「日焼け止めの成分が皮膚を通過して血中に取り込まれること」
これ自体は実は何も新しい知見ではなく、
これまでも幾度となく様々な研究チームが発表してきたことなんです。
特に今回はアメリカの研究チームだったことが注目された要因の一つなのかなと思うのですが、
ヨーロッパ方面では昔から紫外線防止剤…特に「紫外線吸収剤」の経皮暴露についてはかなり研究されていました。
それでいくつかの論文でも確かに紫外線吸収剤には経皮暴露があると言われていて、
僕もそれについては
▶
こちらの記事などでかなり昔にすでに自説を述べています。
こちらで紹介している論文では最も有名な「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」という吸収剤を計測しているのですが、
通常時使用であれば無影響レベルの吸収量であったものの
特にレジャー等で紫外線吸収剤の濃度の高い日焼け止めを長時間塗る場合は結構な経皮吸収があるようで、
それを長年継続的に使用した時の安全性については現状確実とは言えません。
ただし、紫外線に直で当たるとそれだけで老化や発がん、様々な健康リスクが生じるため、
全く日焼け止めを塗らないという選択をするべきではないと考えてます。
なので基本的には経皮暴露が起こらない吸収剤フリーのものを日常使いして、
どうしても長時間強い日光に当たる時に限定的に吸収剤入りの強力なのものを使う
という方法を僕は推奨しています。
まぁこれが僕なりの紫外線吸収剤への考え方です。
確かに成分的には不安要素が微妙に残るのは確かなのですが
健康リスクがあるかないか分からないものと、健康リスクが確実な紫外線を天秤にかけた場合
紫外線を直浴びするよりは大分マシでしょうという話に落ち着くと思っています(^_^;)
ただ、今回発表された論文は実はとても目新しい知見があり、
正直吸収されるかされないかなんてどうでも良いような内容だと僕は思いました。
その新しい知見とは何か?というと
・今回試験されたのが「アボベンゾン」、「オキシベンゾン」、「オクトクリレン」、「テレフタリリデンジカンフルスルホン酸」という4つの成分であったということ。
・上記全ての成分がFDAが定める無影響レベル(閾値)を超える検出量であったということ。
この二つなんです。
これには実はとても大きな意味があります。
◎「サンゴ礁問題」との関係ありか?4つの吸収剤の特徴
今回試験された紫外線吸収剤が
「アボベンゾン」、「オキシベンゾン」、「オクトクリレン」、「テレフタリリデンジカンフルスルホン酸」
という4つの成分であったということは、凄く意味深なんですよね。
というのは、
まず現在日本でもアメリカでも最も日焼け止めへの配合頻度の多い成分は
先ほど名前を挙げた『メトキシケイヒ酸エチルヘキシル』という成分なのです。
なぜ、今回の研究ではこの最も使用頻度の高い成分を試料に選ばなかったのか?
かなり不思議に思います。
普通ならばこの成分を真っ先に試料に選出してもおかしくないはず…。
と、思うのですが
これは恐らく昨年に話題となった『サンゴ礁問題』が関係している気がします。
サンゴ礁問題とは何かというと、
▶
こっちでこんな記事も書いているのですが、
実は先述した「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(別名:オクチノキサート)」が、
サンゴ礁に悪影響を及ぼす懸念があるとして使用禁止になるという話があったのですね。
あと加えて「オキシベンゾン」も禁止成分の一つなのですが、
その結果色々ありまして上記のメトキシケイヒ酸エチルヘキシルやオキシベンゾンを使わない日焼け止めを作ろうとする動きがあるのです。
それで、これが実は去年海外在住のフォロワー様より頂いた、
現地で販売されている「サンゴ礁にも優しい」という名目で販売されているサンスクリーンの成分表です。
成分のところを見ると、
1番上のところなのですが
「Avobenzone(アボベンゾン)-3%」「Octocrylene(オクトクリレン)-8%」…
などなど、
先ほど試験されていた4つの成分のうちの2つが結構な濃度で配合されているんです。
つまり、
メトキシケイヒ酸エチルヘキシルを避けて作られる日焼け止めが今後増えていくと考えられるのですが、
これを避けると十分な紫外線防止効果を出すのにアボベンゾンとかオクトクリレンなんていう成分を高濃度で配合していく必要が出てきます。
だからメトキシケイヒ酸エチルヘキシルは除外して、
他の成分を調べたということなのかな?という気がします。
(というかメトキシケイヒ酸エチルヘキシルはもう散々研究されていてほとんどの場合無影響レベルの暴露しかないことが明らかなのでやる必要が無かったということかもしれませんが)
で、結果としては
メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの代替成分として使われ始めたアボベンゾンもオクトクリレンも、
FDAの定める無影響レベル以上の吸収があることが明らかになった、と。
これ、凄い意味のある研究結果だと思いませんか?f(^_^;)
(メトキシケイヒ酸エチルヘキシルは高濃度品を長時間塗布しなければ無影響レベル以下の吸収しか起こらないことが予め分かっています。)
◎4つの吸収剤の日本での使用状況について
ちなみに、これらの吸収剤成分は、日本ではあまり利用頻度の多い成分ではありません。
何度も登場している「日本でよく使われる代表的な紫外線防止剤の表」をこちらに掲載します。
基本的に最も人気な吸収剤は「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」です。
なんだかんだこれが1番安全性が高いからですね(^^;)
「オクトクリレン」は特定の医薬品成分と反応して日光過敏症を起こす可能性が示唆されているなどの理由からか日本ではまず用いられているのを見たことがありません。
ただ、頻度や配合量は少
ないものの、
・オキシベンゾン(オキシベンゾン-3)
・アボベンゾン(日本の表示名『t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン』)
・テレフタリリデンジカンフルスルホン酸
の三つは配合されているのを見かけます。
オキシベンゾンは昔からあまり良くない成分として知られているのでほぼ見かけませんが、
後者二つについては、
最近よくある「ディープUVA」とか「ロングUVA」などの対応日焼け止めにかなり配合されています。
(以下の記事にも書いたのですが、ロングUVA対応の吸収剤は成分の構造がかなり特殊になるので、今回のこと結果にはかなり納得できますね…。▶)
特に「テレフタリリデンジカンフルスルホン酸」はロレアル系列(例えばラロッシュポゼシリーズなど)の日焼け止めに頻出ですね。
元々ロレアルがロングUVAに対応する成分として開発した比較的新しい成分です。
いずれも紫外線吸収剤としてはとても優秀な成分なので絶対避けろというつもりはないのですが、
やはり何も考えずに毎日使うというのにはいささか問題があるのかもしれませんね。
今後研究が進んで「全く問題ない」と言われる可能性も十分ありますが、
現状では極力普段使い用は経皮暴露の少ない成分のものを選びたいですね。
ただ今後この成分の安全性が不十分という結果になれば、
アメリカでは上記成分が配合されている製品自体販売禁止になる可能性もあるとのことです。
(各メーカーには研究結果を今年の11月までに提出しろというかなり厳しい要求をしているのだそう;)
◎いずれにせよ「紫外線吸収剤フリー」であれば何の問題もない
まぁこれも結局サンゴ礁問題と同じ結論に落ち着くのですが、
『紫外線吸収剤フリー』…つまり『紫外線散乱剤のみの日焼け止め』であれば
今回のような経皮吸収という側面から見ると全く問題ないという結論です(^_^;)
ちょっと前に
▶
こういう記事も書いていて、
散乱剤のみの日焼け止めってやはり扱いがちょっと難しい側面があります。
そういう意味で吸収剤のものを求められる方も多いのですが
一応今回のような化学物質の体内暴露や健康リスク上の話になると
やはり酸化チタンと酸化亜鉛は現状最も安全な成分という評価ができそうです。
ちなみにアメリカで使われてる日焼け止め成分16種類のうち、
今のところ再審査で安全性と効果が十分と確認されてるのはこの二つだけなんですって。(苦笑)
11月には研究データが各メーカーから提出されて、
その後最終審査があるので、この話題の結論が出るのは多分来年以降になるでしょう。
幸いうちのブランドで作っているのは吸収剤フリーの製品なので直接関係はありませんが、
日焼け止め業界にはかなり大きな影響がありそうです。
今後の続報が気になりますね。
※追記※
こういう話が一般に出てくるとすぐに「経皮毒!」とか言い始める人がいるのですが、そもそも経皮吸収と経皮毒は別物です。経皮毒は「吸収された成分が体内に蓄積されて重大な疾病を誘因する」という俗説ですが、現在化粧品に配合が許される成分は体内蓄積が起こらない、毒にならないものだけです。
「吸収されて血中に取り込まれた」というだけで経皮毒と安直に結びつけないことです。血中に取り込まれたとしても毒にならないものは沢山あります。経皮吸収=経皮毒、ではありません。経皮毒自体は全くのデタラメと言い切っても過言では無いので、その辺りに誤解が無いよう注意して欲しいです。
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有識者 人生を走り続ける人々へ。
(30分)
大変お待たせいたしました。読者の皆さんから、是非この動画を取り上げて欲しいとのメッセージをたくさん頂いていました。
遅くなってしまいごめんなさい。
もう、既にご覧になった方が多いでしょうから、まだという方の為に短くまとめてみました。
これなら、普段ネットを見ない方にも見せてあげる事ができると思います。興味を持たれたら、是非動画の方をご覧になって下さい。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
3月11日に起こった事は、これから日本が遭遇することの前兆かも知れない。
そして、その危険性を知る為には、まず過去を理解する必要がある。
名嘉幸照(なかゆきてる)氏は原子力のエンジニア会社の社長で、福島第一と第二で働き、彼の部下と共に何年も前から原発の安全性における重大な欠陥について注意を喚起してきた。
しかし、誰も耳を貸そうとしなかった。
名嘉社長『私の話を聞いてくれた人はほんのわずかな有識者だけで、その人たちの言うことなど誰も本気にしなかった。
日本には、強い影響力を持つある集団が存在する。「原子力ムラ」だ。
彼らの哲学は、経済性優先。
この「原子力ムラ」は東電、政府、そして大学の学者たちからなる。重要な決定は彼らがすべて下している。』
菅直人元首相とのインタビューで、彼は唖然とするような内容を次々に語った。首相の彼にさえ事実を知らせなかったネットワークが存在することを。
マスメディアでは彼に対する嘘がばらまかれ、辞任に追い込まれた。「原子力ムラ」に対抗しようとしたからである。
菅元首相『最大の問題点は、3月11日が起こるずっと前にしておかなければいけないことがあったのに、何もしなかったことだ。
原発事故を起こした引き金は津波だったかもしれないが、当然しておくべき対策をしなかったことが問題。
この過失は責任者にある。つまり、必要であったことをしなかった責任。』
原発事故の原因は地震と津波ではなかったのか?
「原子力ムラ」の足跡を辿っていくと、嘘や仲間意識によって固められた犯罪的エネルギーに満ちた網の目に遭遇する。
私たちはサンフランシスコで、日系三世のケイ・スガオカ氏に話を聞いた。
彼は、長年原子炉のメンテナンスの仕事で福島に何度も来ており、かなり深刻なミスや事故を東電が隠ぺいする現場に遭遇した。
福島の第1号原子炉は、70年代初めにアメリカのジェネラルエレクトリック社が建設し、それ以来アメリカのエンジニアが点検を行ってきたが、福島原発には何度も問題が起こっていた。
スガオカ氏『亀裂を発見した後、彼らが私に言いたかったことは単純だ。
つまり「黙れ」と。「何も話すな、黙ってろ」というわけだ。』
問題があるなど許されない、日本の原発に問題など想定されていないのだ。
アメリカのエンジニア、スガオカ氏にさえもそれを変えようとすることは許されなかった。
スガオカ氏『1989年に、蒸気乾燥機についてビデオ点検をしていて、そこで今まで見たこともないほど大きい亀裂を発見した。
さらに、原子炉を点検している同僚の目がみるみる大きくなったかと思うと、彼がこう言った。「蒸気乾燥機の向きが正反対に取り付けられているぞ!!」と。』
元々、この原発の中心部材には重大な欠陥があったのだ。
スガオカ氏は点検の主任だったので、正しく点検を行い処理をする責任があったのだが東電は、彼の報告が気に入らなかった。
スガオカ氏『私たちは点検で亀裂を発見したが、東電は私たちにビデオのその部分を消すよう注文してきた。
報告書も書くな、と言う。私はサインしかさせてもらえなかった。
私が報告書を書けば、180度反対に付けられている蒸気乾燥機のことも報告する事は分かっていたのだ。
こうして報告書は改ざんされた。』
スガオカ氏は仕事を失うのを怖れて、10年間黙秘した。
だが、GE社に解雇されて初めて彼は沈黙を破り、日本の担当官庁に告発した。
ところが不思議なことに、告発後何年間もなにも起こらなかった。日本の原発監督官庁はそれをもみ消そうとしたのだ。
2001年になってやっと、スガオカ氏は「同志」を見つけた。それも日本の福島で。
18年間福島県知事を務めた佐藤栄佐久氏は、当時日本の与党だった保守的な自民党に所属していた。
佐藤氏は古典的政治家で、皇太子夫妻の旅に随行したこともある。
始めは彼も、原発は住民になんの危険ももたらさないと確信していたのだが、その信頼は徐々になくなっていった。
佐藤元知事『福島県の原発で働く情報提供者から約20通ファックスが届き、その中にはスガオカ氏の告発も入っていた。
経産省は、その内部告発の内容を確かめずにこれら密告者の名を東電に明かした。
そこからわかったことは、信じられない事だった。
東電は、報告書を改ざんしていたのだ。
それで私は新聞に記事を寄せた。「こんなことでは、この先必ず大事故が起きる」と。』
そのため、官僚たちも動かないわけにはいかず、17基の原発が一時停止に追い込まれた。
調査委員会は、東電が何十年も前から重大な事故を隠ぺいし、安全点検報告でデータを改ざんしてきたことを明らかにした。
それどころか、福島では30年も臨界事故を隠してきたという。
社長・幹部は辞任に追い込まれ、社員は懲戒を受けたが、皆新しいポストをもらい、誰も起訴されなかった。
最も責任のあった勝俣恒久氏は代表取締役に任命された。
彼らは佐藤氏に報告書の改ざんに対し謝罪したが、佐藤氏は安心できず、原発が次々に建設されることを懸念した。
ついに佐藤氏は、日本の原発政策の中での「暗黙のルール」を犯してしまったのだ。
その報復は2004年から始まった。
佐藤元知事『12月に不正な土地取引の疑いがあるという記事が新聞に載った。
この記事を書いたのは本来は原発
策担当の記者だ。
この疑惑は、完全にでっち上げだった。
弟が逮捕され、首相官邸担当の検察官で森本という名の検事が「遅かれ早かれ、お前の兄の知事を抹殺してやる」と言った。
事態は更に進み、県庁で働く200人の職員に圧力がかかり始めた。少し私の悪口を言うだけでいいから、と。
とうとう2、3人、圧力に耐え切れずに自殺をする者さえ出てしまった。
私の下で働いていた部長は、いまだ意識不明のままだ。』
同僚や友人を守るため、佐藤氏は辞任した。
裁判で彼の無罪は確定されるが、沈黙を破ろうとした「邪魔者」はこうして消される事となった。
(もっと詳しく知りたい方はこちらの動画をご覧下さい。)
これが、日本の社会を牛耳る巨大な集団の報復だった。彼らこそが、日本で「原子力ムラ」と呼ばれる集団である。
菅元首相『ここ10~20年の間、ことに原子力の危険を訴える人間に対するあらゆる形での圧力が非常に増えている。
大学の研究者が、原発には危険が伴うなどと言おうものなら出世のチャンスは絶対に回って来ない。
政治家はあらゆる援助を電力会社などから受けている。
しかし、彼らが原発の危険性などを問題にすれば、そうした援助はすぐに受けられなくなる。
反対に、原発を推進すれば、多額の献金が入る。それは文化に関しても同じで、スポーツやマスコミもだ。
このように細かく網の目が張りめぐらされていて、原発に対する批判が全くなされない環境が作り上げられていた。
だから、原子力ムラというのは決して限られた世界のことではなく、国全体にはびこる問題なのだ。
誰もが、この原子力ムラに閉じ込められているのだ。』
東電から献金を受け取っている100人以上の議員に菅首相は立ち向かった。
その中には元首相もいる。やはり彼と同じ政党所属だ。
ネットワークは思う以上に大きい。
多くの官僚は定年退職すると、電事業関連の会社に天下りする。
石原武夫氏
増田実氏
川崎弘氏
白川進氏
1962年以来、東電の副社長のポストは原発の監査を行うエネルギー庁のトップ官僚の指定席だ。
東電副社長だった加納時男氏は当時与党だった自民党に入党し12年間、日本のエネルギー政策を担当してからまた東電に戻った。
河野太郎氏の家族は代々政治家で、彼の父も外相を務めた。
彼は、第二次世界大戦後、日本を約60年間に渡り支配した自民党に所属している。
原発を長年 政策として推進してきたのは自民党である。
河野議員『誰も、日本で原発事故など起こるはずがない、と言い続けてきた。
だから、万が一のことがあったらどうすべきか、などという準備も一切してこなかった。
それだけでなく、原発を立地する地方の行政にも危険に対する情報をなにひとつ与えてこなかった。
いつでも、「お前たちは何も心配しなくていい、万が一のことなど起こるはずがないのだから」と。
彼らはずっとこの幻想をばらまき、事実を歪曲してきた。そして今やっと、すべて嘘だったことを認めざるを得なくなったのだ。』
2011年3月11日、この雰囲気が崩壊した。日本がこれまでに遭遇したことのない大惨事が起きたのだ。
しかし、地震はその後の恐怖の引き金に過ぎなかった。
福島第一原発にも津波が押し寄せた。ここの防波堤は6メートルしかなかったのだ。
菅元首相『元々は、原発は35mの高さに建てられる予定だった。
しかし標高10mの位置で掘削整地をし、そこに原発を建設した。低いところの方が、冷却に必要な海水をくみ上げやすいという理由で。
東電がはっきり、この方が「経済的に効率が高い」と書いている。
法律ではどの原発も非常用電源センターを用意することが義務付けられている。
福島第一原発ではこれが原発から5キロ離れたところにある。これは津波の後、1分と機能しなかった。
それは職員が地震があったために、そこにすぐたどりつけなかったからだ。それで電源は失われたままになってしまった。
こうして送電に必要な器具はすべて作動せず、本当の非常時に非常用電源は何の機能も果たさなかった。
法律では、原発事故と地震が同時に起こるということすら想定していなかったのだ。』
当時、菅首相は、原発で起こりつつある非常事態をほとんど知らされていなかった。
彼は、テレビの報道で初めて福島第一原発で爆発があったことを知ったのだ。
菅元首相『東電からは、その事故の報道があって1時間以上経っても何が原因で、どういう爆発があったのかという説明さえもなかった。
あの状況では確かに詳しく究明することは難しかったのかもしれないが、それでも東電は状況を判断し、それを説明しなければならなかったはずだ。
しかし、彼らは十分にその努力を行わなかった。』
2011年3月15日、災害から4日経ってもまだ東電と保安院は、事故の危険を過小評価し続けていた。
しかし、東電は菅首相に内密で会い、事もあろうに職員を福島第一原発から撤退させてもいいかと打診した。
今、撤退させなければ、全員死ぬことになる、というのだ。
菅元首相『私はまず東電の社長に「撤退はぜったい認められない」と伝えた。
誰もいなくなればメルトダウンが起き、膨大な量の放射能が大気に出てしまう。そうなれば広大な土地が住めない状態になってしまうからだ。』
当時、菅首相は初めから東電を信用できず、自分の目で確かめるためヘリコプターで視察した。
しかし、首相である彼にも当時伝えられていなかったことは、福島の3つの原子炉ですでにメルトダウンが起きていたということだ。
それも災害の起きた3月11日の夜に。
菅元首相『東電の報告にも、東電を監査していた保安院の報告にも、燃料棒が損傷しているとか、メルトダウンに至ったなどということは一言も書かれていなかった。
3月15日には、「そのような状況にはまだ至っていない」という報告が上がっていた。』
世界中であらゆる専門家が予
していたメルトダウンの事実を東電が認めるまで、なぜ2か月も要したのか?
ハーノ記者「原子炉1号機、2号機そして3号機でメルトダウンになったことを、東電はいつ知ったのか?」
東電・松本氏『目で見るわけにはいかないが、上がってきたデータをもとに事態を推定し、燃料棒が溶けおそらく圧力容器の底に溜まっているだろうという認識に達したのは5月の初めだった。』
膨大なデータに身を隠そうとする態度は今日も変わらない。
東電は、毎日行う記者会見でこれらのデータを見せながら、事態を完全に掌握していると言い続けている。
しかしこれらのデータの中には、本当に責任者たちは何をしているかわかっているのかと、疑いたくなるような情報がある。
たとえばスポークスマンはついでのことのように放射能で汚染された冷却水が「消えてしまった」と説明した。
理由は、原発施設ではびこる雑草でホースが穴だらけになっているという。
ハーノ記者「放射能で汚染された水を運ぶホースが、雑草で穴が開くような材料でできているのか?」
東電・松本氏『草地に配管するのは私たちも初めてのことだが、穴があくなどのことについては知見が不十分だった。』
しかし原発の廃墟をさらに危険にしているのは雑草だけではない。
原発廃墟の福島第一から7キロのところにある富岡町に向かった。既にゴーストタウンになっていた。
住民は、個人的なものをとりに行くためだけに短時間だけ帰ることが許されている。
中嘉社長は、地震に見舞われた状態のまま放り出された会社を見せてくれた。
名嘉社長『この木造の建物はとても快適だった。とても静かで、夏は涼しく、冬は暖かかった。
私たちは皆ここで幸せに暮らしていた。』
80人の原発専門のエンジニアが彼のもとで働いており、災害直後も事故をできるだけ早く収束しようと努力している。
名嘉氏と彼の社員は、原発廃墟で今本当になにが起きているのか知っている。
名嘉社長『私たちの最大の不安は、近い将来、廃墟の原発で働いてくれる専門家がいなくなってしまうことである。
あそこで働く者は誰でも、大量の放射能を浴びている。どこから充分な数の専門家を集めればいいか、わからない。』
しかし、まだ被爆していない原発の専門家を集めなければ、事故を収束するのは不可能だ。
例えこれから40年間、充分な専門家を集められたとしても、日本も世界も変えてしまうことになるかもしれない一つの問題が残る。
ハーノ記者「いま原発は安全なのか?」
名嘉社長『そう東電と政府は言っているが、働いている職員はそんなことは思っていない。とても危険な状態。
私が一番心配しているのは4号機だ。
この建屋は地震でかなり損傷しているだけでなく、この4階にある使用済み燃料プールには、約1300の使用済み燃料が冷却されている。
その上の階には新しい燃料棒が保管されていて、非常に重い機械類が置いてある。何もかもとても重いのだ。
もう一度大地震が来れば、建屋は崩壊してしまうだろう。そういうことになれば、また新たな臨界が起こる。』
このような臨界が青空の下で起これば、日本にとって致命的なものとなるだろう。
放射能はすぐに致死量に達し、原発サイトで働くことは不可能となる。そうすれば高い確率で1、2、3、 5、 6号機もすべてが抑制できなくなり、まさにこの世の終わりとなる。
2月に東大地震研が地震予知を発表したが、それによれば75%の確率で4年以内に首都を直下型地震が襲うと予測されている。
ハーノ記者「このような地震があった場合に原発が壊滅する確率はどのくらいか?」
地震学者 島村英紀教授『確率はとても高い。計測している地震揺れ速度が、これまでの予測よりずっと速まってきているからだ。
私たちはここ数年、1000以上の特別測定器を配置して調査してきたが、想像以上に地震波が強まり、速度も増していることがわかった。』
これは日本の建築物にとって大変な意味を持つだけでなく、原発にとっても重大な問題となることを島村氏は説明する。
島村教授『将来、加速度300~450ガルの地震が来ることを想定している。
万が一として600ガルまでを想定しているが、この大きさに耐えられる設計は原子炉の格納容器だけで、原発のほかの構造はそれだけの耐震設計がなされていない。
しかし私たちの調査では、最近の地震の加速度がなんと4000ガルまで達したことがわかっている。
想定されている値よりはるかに高いのだ。』
ハーノ記者「電気会社は、それを知って増強をしなかったのか?」
島村教授『今のところ何もしていない。不十分であることは確かだ。
これだけの地震に耐えられるだけの設計はほとんど不可能だろう。』
原発から60キロ離れた福島県災害対策本部では東電、保安院、福島県庁が共同で日々、原発の地獄の炎を冷却する闘いに当たっている。
どうやって今後、これだけ損傷している原発を大地震から守るつもりなのか?
東電・白井氏『4号機の使用済み燃料プールには、おびただしい量の使用済み燃料が入っている。
これをすべて安全に保つためには、燃料プールの増強が必要だ。燃料プールのある階の真下に、新しい梁をつけた。』
ハーノ記者「原発はほとんど破壊されているが、原発が健在だった1年前ですら大地震に耐えられなかった構造で、どうやって次の地震に備えられるのか?」
東電・白井氏『我々は耐震調査を4号機に限らず全体で行った。その結果、問題ないという判断が出ている。』
ハーノ記者「だが、地震学者たちは4000ガルまでの地震加速度が測定されていて、これだけの地震に耐えられるだけの原発構造はないと言っている。
半壊状態の福島の原発の真下でそのような地震が来ても、全壊することはないと、なぜ確信がもてるのか?」
東電・白井氏『その4000ガルという計算は別の調査ではないのか?それに関しては、私は何とも言えない。』
ハーノ記者「原発を日本で稼動させるだけの心構えが、東電にはあるのか?」
(長い沈黙)
< div align="center">
東電・白井氏『それは答えるのが難しい。。。』
名嘉社長『これが、やってきたことの結果だ。この結果を、人類はちゃんと知るべきだ。
一緒に未来の政策をつくっていくことができるように。』
<まとめ終わり> ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
国をあげて、脱原発に舵を切ったドイツだからこそ、このような真摯な番組が作れるのでしょう。
菅さんが、まだ首相を続けていてくれたなら、もっと早く日本も変われていたかも知れません。
でも、これが私たちに与えられた宿題なのでしょう。
「原子力ムラ」に対抗するには数で勝負です。
大勢の人が、この真実を知る事ができますように。