ゴミ箱はアメリカなら余裕で訴えられるレベル
※BL妄想小説です
閲覧にご注意くださいね
「一弥さん、どないしたん?
さっきからぼぉーっとして。
酔うとるん? 目ぇ赤いし、
なんや泣きそうな目やなぁ」
西畑に声をかけられ、
二宮は慌てて目元を擦った。
「そ、そう?」
帰宅する担当客を、ヘルプで入った
西畑と一緒に、通りまで見送りに
出たところだ。
客の乗り込んだタクシーが走り
去っても、二宮は動こうともせず
歩道の縁に突っ立っていた。
深夜でも車の多い通りは、
もう見送ったタクシーのテール
ランプがどれかすら判らない。
戻りを促す西畑にぽんと肩を叩かれ、
ようやく我に返った。
「そのウルウル目ぇ、
色気ダダ漏れやわ」
「ダダ漏れって…」
二宮は絶句する。
目線が落ち着かなくなる。
「何や、
思い当たることあるん?
教えたってや、一弥さん」
「か…勘弁してくれ」
足早に店を目指す。
スーツは毎日違えど、夜の街の
喧騒はいつもどおり。
何を勘違いしたのか寄ってきた
風 俗の客引きを、西畑が面倒
臭そうに追い払う。
いつだったか客が言っていた。
この辺りをスムーズに歩くには、
『セールスお断り』ならぬ
『キャッチお断り』の札を首から
揚げなきゃならないと。
あれから─── 一週間が過ぎた。
大野の家には行っていない。
客との付き合いが続いて、
それどころじゃなかった。
けれど、忘れてはいない。
時折体が熱っぽく火照る。
腰が ぐずぐずと重くなり、
大野の手指の感触が蘇る。
あの、大きくて綺麗な長い指。
だけど、節はしっかりあって
男っぽい。
いい年してと思うけれど、
初めての感覚は強烈過ぎた。
いい年して…初めての経験だった
からかもしれない。
忘れまいと上書きするみたいに、
何度も自分でも触れてしまった。
いまさら、毎夜のように自 慰をする
自分なんて、想像もしていなかった。
はぁ…。
ついた溜め息が、あの時の吐息に
似ていた気がして、二宮は焦る。
幸い、隣の男は気にしていない。
「そや、サヤカさんが
最近一弥さんのつき合い
悪い言うとったな」
ビルに入ったところでエレベータの
ボタンを押しながら、西畑が言う。
いつのことかと問うた。
「ほらあれや、前にご飯
誘われたのに都合つかん
かって、断ったやろう?
根に持っとるみたいやな」
「それ、二ヵ月も前の話
なんだけど…何でいま頃」
「え、そうなん?
じゃあ…、たぶんずっと
耳に届いてなかったんやわ。
どうりでえらいグチグチ
言うてたはずやな」
担当客の多くなった二宮は、全ての
客の希望を叶えられるとは限らない。
そんな時、不満の聞き役は往々に
してヘルプに入ったホストだ。
けれど、伝えるべき客の声は、
時にヘルプのささやかな嫌がらせに
よって二宮まで届かず握り潰される。
下手すれば、あることないこと
悪口を客に吹聴されたりもする。
ある一部の派閥から───。
「ありがとう、
教えてくれて助かった」
素直に礼を言う。
「どういたしまして」
西畑はにかっと笑った。
店に戻ると、件のサヤカが来ていた。
「サヤカさん、こんばんは。
ちょうどよかった、
今日は話したいことあって」
今夜はフォローしなければ。
ノリを見てアフターに誘ってみよう。
店は何処がいいだろう。
こないだ行った店は?
いや、あそこは駄目だ。
マユミさんの行きつけだ。
サヤカさんとは反りが合わないから、
鉢合わせたら修羅場になりかねない。
隣に座り、他愛もない話を始め
ながら、頭をフル回転させる。
客の煙草に火を点し、ふっと
ソファに体を預けた時だった。
「いっ……」
背後についた手に痛みが走った。
「どうしたの?
ちょっ…一弥、血が出てる!」
「……ガラス?」
背凭れと座面の合わせ目にグリーン
色のガラスの破片が刺さり、突き
出ていた。
「どうしてこんなところに…」
血が溢れる。
切れたのは人差し指のつけ根だった。
他に破片がないか確認し、少しだけ
待っていてくれるよう頼んで裏に
引っ込んだ。
控え室に
常備されている救急箱に、
絆創膏があるはずだ。
途中、厨房入り口のゴミ箱の傍らに
割れたボトルが袋に入って置かれて
いるのが目に留まった。
同じグリーン色のガラス。
「これ、どうしたんだ?」
厨房にいたホストに声をかける。
「あぁ、さっき篤史さんたちが
騒ぎ過ぎて割っちゃったんすよ」
「篤史さんが?
いま俺がいる席? 三番?」
「たぶんそうです」
───岡田か。
偶然だろうか。
ソファの上にまでガラスが飛んだ
のか。
三番は自分が好んで使っている席だ。
しかも、客はソファの中心に座るが、
二宮は決まってその左側に回る。
岡田だから、つい疑ってしまうだけ
かもしれない。
さっき西畑が教えてくれたことが
岡田の派閥についてるヘルプからの
嫌がらせしれない───なんて、
証拠もないのに疑うのは駄目だ。
気を取り直して控え室に向かおうと
した二宮の前に、当の男が姿を
現した。
通路で鉢合わせる。
自分が客を呼べるようになり、
ナンバーワンになった頃から無視
されていたのに、岡田は薄く笑い
声をかけてきた。
「どこに行くんだ、一弥?」
「いえ、ちょっと控え室に」
「ナンバーワンホストが
サボっちゃいけないなぁ。
あーそうそう、『シック』が
売れるホスト探してるって
いうから、おまえを推薦
しておいてやったよ」
「『シック』が?」
加瀬のいる系列店だ。
人手に困っているとは知らなかった。
「そ、うちには智もいるし、
新人も育っていまは余裕が
あるからな。
ま、せいぜい小奇麗な顔で
『シック』の客寄せしてやれ」
「俺は行きません。この店を
出る時はホストを辞める時です」
本当だ。
他の店ならまだしも、加瀬と同じ
店で働くなど考えられない。
あのイベント以来、あの店は
もちろん、店のある通りすら
避けている。
いやにきっぱりした二宮の返事に、
岡田は苦味走った顔となる。
移店はともかく、売上一番の
ホストを岡田が幹部であっても
辞めさせられるわけがない。
「ふん」
男は二宮のスーツの肩先を突き押し
ながら、フロアを出て行った。
二宮はぶつかられても、
身動ぎ一つしなかった。
ずっと前を真っ直ぐに見据えたまま。
嫌な男だ。
やっぱり、
あの男は加瀬真司を思い出す。
しばらくして、
二宮はため息をついた。
下ろしていたせいで、益々溢れた
指先の血を口で吸い取る。
これが岡田の嫌がらせだとすれば、
次は何だ。
靴に画鋲?
スーツにハサミでもいれるつもりか?
どっと疲労感を覚える。
憂鬱になる。
客にはフォローが足りないと不満を
抱かれ、同僚には煙たがられ。
自分の招いた部分もあるだろう
けれど、二宮は気疲れを感じずには
いられなかった。
続く
アメンバーについては、こちらにマメに
来てくださり、お話にきちんと「いいね」
残されていない方は整理しております。
整理しております。
本当は読んでいないのに「いいね」だけ
残す行為はお止めください。
わりと判るものですよ…
この長いお話が、それほどスピーディに
読めるとは、とても思えませんもの。
ゴミ箱が新しい体験を提供してくれそうだ
※BL妄想小説です
閲覧にご注意くださいね
「一弥さん、どないしたん?
さっきからぼぉーっとして。
酔うとるん? 目ぇ赤いし、
なんや泣きそうな目やなぁ」
西畑に声をかけられ、
二宮は慌てて目元を擦った。
「そ、そう?」
帰宅する担当客を、ヘルプで入った
西畑と一緒に、通りまで見送りに
出たところだ。
客の乗り込んだタクシーが走り
去っても、二宮は動こうともせず
歩道の縁に突っ立っていた。
深夜でも車の多い通りは、
もう見送ったタクシーのテール
ランプがどれかすら判らない。
戻りを促す西畑にぽんと肩を叩かれ、
ようやく我に返った。
「そのウルウル目ぇ、
色気ダダ漏れやわ」
「ダダ漏れって…」
二宮は絶句する。
目線が落ち着かなくなる。
「何や、
思い当たることあるん?
教えたってや、一弥さん」
「か…勘弁してくれ」
足早に店を目指す。
スーツは毎日違えど、夜の街の
喧騒はいつもどおり。
何を勘違いしたのか寄ってきた
風 俗の客引きを、西畑が面倒
臭そうに追い払う。
いつだったか客が言っていた。
この辺りをスムーズに歩くには、
『セールスお断り』ならぬ
『キャッチお断り』の札を首から
揚げなきゃならないと。
あれから─── 一週間が過ぎた。
大野の家には行っていない。
客との付き合いが続いて、
それどころじゃなかった。
けれど、忘れてはいない。
時折体が熱っぽく火照る。
腰が ぐずぐずと重くなり、
大野の手指の感触が蘇る。
あの、大きくて綺麗な長い指。
だけど、節はしっかりあって
男っぽい。
いい年してと思うけれど、
初めての感覚は強烈過ぎた。
いい年して…初めての経験だった
からかもしれない。
忘れまいと上書きするみたいに、
何度も自分でも触れてしまった。
いまさら、毎夜のように自 慰をする
自分なんて、想像もしていなかった。
はぁ…。
ついた溜め息が、あの時の吐息に
似ていた気がして、二宮は焦る。
幸い、隣の男は気にしていない。
「そや、サヤカさんが
最近一弥さんのつき合い
悪い言うとったな」
ビルに入ったところでエレベータの
ボタンを押しながら、西畑が言う。
いつのことかと問うた。
「ほらあれや、前にご飯
誘われたのに都合つかん
かって、断ったやろう?
根に持っとるみたいやな」
「それ、二ヵ月も前の話
なんだけど…何でいま頃」
「え、そうなん?
じゃあ…、たぶんずっと
耳に届いてなかったんやわ。
どうりでえらいグチグチ
言うてたはずやな」
担当客の多くなった二宮は、全ての
客の希望を叶えられるとは限らない。
そんな時、不満の聞き役は往々に
してヘルプに入ったホストだ。
けれど、伝えるべき客の声は、
時にヘルプのささやかな嫌がらせに
よって二宮まで届かず握り潰される。
下手すれば、あることないこと
悪口を客に吹聴されたりもする。
ある一部の派閥から───。
「ありがとう、
教えてくれて助かった」
素直に礼を言う。
「どういたしまして」
西畑はにかっと笑った。
店に戻ると、件のサヤカが来ていた。
「サヤカさん、こんばんは。
ちょうどよかった、
今日は話したいことあって」
今夜はフォローしなければ。
ノリを見てアフターに誘ってみよう。
店は何処がいいだろう。
こないだ行った店は?
いや、あそこは駄目だ。
マユミさんの行きつけだ。
サヤカさんとは反りが合わないから、
鉢合わせたら修羅場になりかねない。
隣に座り、他愛もない話を始め
ながら、頭をフル回転させる。
客の煙草に火を点し、ふっと
ソファに体を預けた時だった。
「いっ……」
背後についた手に痛みが走った。
「どうしたの?
ちょっ…一弥、血が出てる!」
「……ガラス?」
背凭れと座面の合わせ目にグリーン
色のガラスの破片が刺さり、突き
出ていた。
「どうしてこんなところに…」
血が溢れる。
切れたのは人差し指のつけ根だった。
他に破片がないか確認し、少しだけ
待っていてくれるよう頼んで裏に
引っ込んだ。
控え室に
常備されている救急箱に、
絆創膏があるはずだ。
途中、厨房入り口のゴミ箱の傍らに
割れたボトルが袋に入って置かれて
いるのが目に留まった。
同じグリーン色のガラス。
「これ、どうしたんだ?」
厨房にいたホストに声をかける。
「あぁ、さっき篤史さんたちが
騒ぎ過ぎて割っちゃったんすよ」
「篤史さんが?
いま俺がいる席? 三番?」
「たぶんそうです」
───岡田か。
偶然だろうか。
ソファの上にまでガラスが飛んだ
のか。
三番は自分が好んで使っている席だ。
しかも、客はソファの中心に座るが、
二宮は決まってその左側に回る。
岡田だから、つい疑ってしまうだけ
かもしれない。
さっき西畑が教えてくれたことが
岡田の派閥についてるヘルプからの
嫌がらせしれない───なんて、
証拠もないのに疑うのは駄目だ。
気を取り直して控え室に向かおうと
した二宮の前に、当の男が姿を
現した。
通路で鉢合わせる。
自分が客を呼べるようになり、
ナンバーワンになった頃から無視
されていたのに、岡田は薄く笑い
声をかけてきた。
「どこに行くんだ、一弥?」
「いえ、ちょっと控え室に」
「ナンバーワンホストが
サボっちゃいけないなぁ。
あーそうそう、『シック』が
売れるホスト探してるって
いうから、おまえを推薦
しておいてやったよ」
「『シック』が?」
加瀬のいる系列店だ。
人手に困っているとは知らなかった。
「そ、うちには智もいるし、
新人も育っていまは余裕が
あるからな。
ま、せいぜい小奇麗な顔で
『シック』の客寄せしてやれ」
「俺は行きません。この店を
出る時はホストを辞める時です」
本当だ。
他の店ならまだしも、加瀬と同じ
店で働くなど考えられない。
あのイベント以来、あの店は
もちろん、店のある通りすら
避けている。
いやにきっぱりした二宮の返事に、
岡田は苦味走った顔となる。
移店はともかく、売上一番の
ホストを岡田が幹部であっても
辞めさせられるわけがない。
「ふん」
男は二宮のスーツの肩先を突き押し
ながら、フロアを出て行った。
二宮はぶつかられても、
身動ぎ一つしなかった。
ずっと前を真っ直ぐに見据えたまま。
嫌な男だ。
やっぱり、
あの男は加瀬真司を思い出す。
しばらくして、
二宮はため息をついた。
下ろしていたせいで、益々溢れた
指先の血を口で吸い取る。
これが岡田の嫌がらせだとすれば、
次は何だ。
靴に画鋲?
スーツにハサミでもいれるつもりか?
どっと疲労感を覚える。
憂鬱になる。
客にはフォローが足りないと不満を
抱かれ、同僚には煙たがられ。
自分の招いた部分もあるだろう
けれど、二宮は気疲れを感じずには
いられなかった。
続く
アメンバーについては、こちらにマメに
来てくださり、お話にきちんと「いいね」
残されていない方は整理しております。
整理しております。
本当は読んでいないのに「いいね」だけ
残す行為はお止めください。
わりと判るものですよ…
この長いお話が、それほどスピーディに
読めるとは、とても思えませんもの。
日本を蝕む「ゴミ箱」
ある日の事
この
おっさん私設ゴミ箱に
大量のティッシュが
投げ込まれていました。
彼が犯人でした。
意味もなく
濡れティッシュを
引っ張りだしては
鼻をかむパフォーマンス
そして
ポイ・・・・
これを
3分もしていました。
そう思いながらも
おっさんの家
最後の赤ちゃん・・・・
ニコニコして
見てまうんだよなぁ・・・
完
安いのは鼻が痛くなるから
良いティッシュに囲まれたい
↓ ↓
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