ウェディングドレスを語れる上司より、スポーツを語れる上司の方が、取引先に食い込んでいる。

私はレオナくんの隣りでウェディングドレスを着て
大勢の人から祝福されていた

レオナくんから旦那さんへ

起業して、結婚

奇跡的な展開に
まるで自分のことじゃないようだった

この幸せが続くようにと
結婚してからも更に頑張り続けた

突然の法改正にも対応できるように
いくつも、いくつも事業を増やして

収益も安定させようと必死で頑張った

でもね
私、頑張る方向性を間違えていたんだよね
目標、目的にそった頑張り方をしていなかったんだよね

次第に私は批判、誹謗中傷、噂話の的になりはじめ
精神科へ通うようになった

やっと気分が上向きになって
動こうとすると
今度は起き上がれない

3日、休んでも
4日、休んでも

起き上がれない

私が管理者として処理しなければいけない
書類は山積みのまま

役所からの電話にでる力すらなく

レストランのみんなと
看病してくれる旦那さんに
ただただ申し訳なくて
布団の中で泣き暮らす日々を送り

やっと私がレストランへ出勤できるようになった頃

背広を着た男性が数名、押し寄せてきて
私が元気になってから
処理しようと思っていた
手つかずの書類を持ち帰り

調査の結果、書類から
多数の不正が見つかったとの連絡あり
私の福祉レストランは突然、閉鎖するように
宣告をうける

一生懸命に頑張るのは良いことなんだけど
方向性を間違えると
こういうことになるんだなって思い知った

不妊治療をしたときにも思ったけど

何事も努力すれば
必ず叶うって訳じゃないんだなって
努力にも種類があるんだなって

ラーメン屋さんを開業して1年後
あの時、背広を着た男性たちが持ち帰った書類が
手元に戻ってきた

不正が見つかったとの指摘で閉鎖したのではなく
自分たちで法人を解散したことによる閉鎖だと
認めるように求められ、同意してサインした

あの時の大家さんからは
退去金の代わりにと
私の多数あった資格証書を引き渡すようにと言われて
渡した

資格証は大家さんが持っていても
お金にならないし
他のものを担保にしてほしいと懇願したけれど
あっさり却下された

でもね

悪いのは全部、私

役所も大家さんも
自分の仕事、使命を果たしただけのこと

役所や大家さんへの誠意を欠いた行動をしたのは
私のほうなんだ

旦那さんの制止もきかず
私が暴走を続けた結果だった

このレストランがあって良かったと
やっと幸せになれたと言ってくれた

そんな職場のみんなを不幸にしたことは
たぶん一生かかっても償えない罪だと思っている

その十字架はこの先も
ずっと背負って生きていくつもり